2.野球の科学
 野球は、日本の最も愛されているスポーツ種目の代表的なものである。各都市に定着したプロ野球、都市対抗野球、春夏テレビで賑わう高校野球、地域で楽しまれている言わば草野球、子供達とその親が情熱を燃やすリトルリーグ、など完全に日本の社会に定着した素晴らしいスポーツ種目である。この「野球」について科学の目を向けてみよう。私は、水泳連盟での世界との戦いの最中に、ある県の高校の野球部の強化のお手伝いをしたことがある。A県立のB高校は大学進学率が県内トップで、受験校として著名である。当然入試の倍率も極めて高い。従って、部活で野球部に入部した生徒のほとんどが中学生の頃は受験勉強に明け暮れておりほぼ素人といって過言がない状況であった。部活の練習も勉学中心のカリキュラムに制限を受けてままならない状態であった。当然甲子園の県予選でも毎年出ると負けを繰り返していた。ある年。私も参加して夏の甲子園を目指しての4.5.6の3ヶ月間を真剣に練習に励ことになった。私にとって極めて印象に残る感動的な高校生との時間であった。この年、今まで「出ると負け」の弱小高校チームが、強豪校の多いこの県でなんと4回戦にまで勝ち進んだのである。最後に負けた試合の後、大学進学受験を控えたこの生徒たちが泣いた。私も泣いた。悔しくて非常に残念であったが何故か清らかな涙であった。この受験校の甲子園を目指した野球を例として科学的アプローチを解説してみる。