情報コード  DYB3
情報登録日  2019/03/14
情報作成者  河井正治

.野球のインテリジェンス

3.バッティングの科学 その3 

・・・・豪打はヌンチャク振り回し打法で!・・・・

14.打球速の生成メカニズム
 打球速の生成メカニズムは、「バッティングの科学その1」の項の図2に示したがもう一度掲載しよう。図2のように、バットとボールの反発速度が打球速度である。右から飛んできたボールがバッターの振ったバットに当たり激突する。激突直後が右上図で、バットの振られた勢いの力と投げられて飛んできたボールの勢いの力の激突で強力な衝撃力が発生する。その後、ボールは衝撃力によって得られた反発速度で飛翔することになる。飛翔速度(反発速度)は、衝撃力に反発係数をかけ合わせて計算される。

                    図2.ボールを打つ(再掲示)
      

            図15.プロ野球選手のホームランスイング

 図15は、2018年プロ野球テレビ中継の日本シリーズ第5戦での8回裏H球団A選手の同点ホームランのスイングである。真ん中が打撃瞬間、左がそのコマ前、右が2コマ後の画像を表示した。
 画像から計測してこの時、相手ピッチャーの投球速度が152㎞/時、打つためのバットの移動速度が66㎞/時で、飛んだホームラン打球速度は166㎞/時であった。激突の衝撃速度は152+66=218㎞/時で、打球速が166㎞/時であったので反発係数は0.76となる。つまり、
        打球速度 = 0.76 × (投球速度+バット移動速度)
 ということになった。もちろんジャストミートである。
 式から考えると、速い打球速度を実現するには、投球速度とバットの移動速度を上げればいいことになる。相手投球速度は変えられないので、自分のバット振りをシャープにしてバットの移動速度を上げることが重要となる。バットの振り回し速度を早くするのが必須となる。

15.バットの移動速度を上げる
 ボールに激突する瞬間のバットの移動速度を上げるには、バット振り回しの旋回速度を上げることで実現できる。「スポーツ共通その3(振り回し旋回技術)」の項で詳しく解説したが、ヌンチャク振り回し技術が重要となる。詳細は「スポーツ共通その3(振り回し旋回技術)の項で解説したが、念のためもう一度解説する。
 図16に示すように、ヌンチャクという武器は3~50cm程の金属製のバーを蝶番で2つ繋いだものである。敵を壊滅的に破壊するため、握りバーを持って振り下ろして、攻撃バーを激突させるように使う。握りバーをもって振り下ろすと、手を振っている最中は攻撃バーが握りバーに引きつられた状態で飛ぶように進む。振りの最終段階では握りバーが急に減速し、攻撃バーそのままの勢いで自身が急速旋回して相手に衝突する。攻撃バーは振り下ろしの速度に加えて、急旋回の大きな加速を受けて衝撃力を増して強力に激突する。単独バーでの打撃より旋回加速が加わって大きな衝撃力となる。強い攻撃破壊力が得られる武器なのである。握りバーの最終段階で持つ手を逆に上に上げるか手前に引くとさらに攻撃バーの旋回が速くなり激突力が増す。ヌンチャクの破壊力増大のブラックテクニックである。


              図16.武器ヌンチャクとその破壊力
       
16.バット振り速度をさらに上げる
 ボールの打球速は、ピッチャーが投球した球速とバット振り速度の合計に比例する。投球速度は相手なので変えられないが、バット振り速度は打者自身で変えられる(上げられる)。
 ボールに激突する瞬間のバット振り速度を上げるには、バット振り回しの旋回速度を上げることで実現できる。「スポーツ共通その3(振り回し旋回技術)」の項で詳しく解説したが、ヌンチャク振り回し技術が重要となる。 図17の右上のように、ヌンチャクという武器の強烈な激突力をバットとボールの激突に利用する。
 


            図17.バット振り回し旋回とヌンチャクとの原理 

 図17の左側は選手のバッティングの様子を真上から見たスケッチで、ボールは左から飛んでくる。左バッターの左手とバットの振り方をヌンチャクと同色系で描いたものである。バットを持つ手全体を表示すると込み入ってしまうので、左バッターの右手を主体に描いた。バット振りでボールが来る間近まで、手首回転によるバット振りは押さえて、肘で腕とバットを引きずるように(ヌンチャクの攻撃バーが最初は引きずられて移動)肘を前に出している。ボールが近づく瞬間に手首をひねりバット自身の回転を大きくして激しくボールに当たるようにして打撃する。これがヌンチャク振り回し技術である
「ヌンチャク振り」技術の詳細については「スポーツ共通その3(振り回し旋回技術)」の項をご参照頂きたい。

17.大リーグO選手もヌンチャク振り回し打法
 図18は、アメリカで活躍する日本のO選手が大リーグ16号ホームランを打った時の連続画像である。打撃瞬間を⑤としその前の2コマ分である。彼のバッティングは素晴らしく日本人としてのホームラン大リーグ記録を樹立した。その時のバットの振り方をみてみよう。大谷選手は左打ちバッターである。ということは利き手が左手いうことになる。最上段が実際のテレビ映像で、その下の段がスティック図である。わかりやすいように、右手を茶色、左手をピンク、バットを赤線で表示した。③、④とあまりバットを振り出さないで、肘を前にすすめているが、ボールが近づいた④から⑤では、一気にバッツを旋回させている。正にヌンチャク方式のバット振りなのだ。ホームラン級の打球速度は160㎞/時ほどもあるという。それだけの打球速を出すにはバットの振りを高速度にしなくてはならない。彼は見事にヌンチャク方式で実現していることがわかる。
          

            図18.大リーグO選手のバッティング

 バッティングの放送映像は視聴者を考えて前か正面からかが多いのでバットの移動状況が厳密にはわからない。真上からを推察すると図19のようになる。図19は、選手のバッティングの様子を真上から見たスティック図である。インパクト瞬間を⑤として、その3コマ前からの連続図で、頭(黒)、右手(茶)、左手(ピンク)、バット(朱)で表示した。

                 図19.ヌンチャク方式バッティング
       
  黒点線で囲まれた図がO選手のホームランバッティングのバットの運びを推定したものである。②から④の間のバットの振りは、振り始めた当初から④までバット先端は遅れてグリップだけが先行している。身体全体は旋回しているがバットはあまり旋回しないという状況である。インパクト直前の④から⑤の1コマの間に急激にバットが旋回してジャストミートするという振り方である。正にヌンチャク打法である。図19の左側の連続図は、普通のバット振り打法で身体とバットの旋回が一定速度で行われている状況である。インパクトの瞬間のバットの旋回は一定旋回速度でミートすることになる。最後に特段速くなることはない。打球の速さはボールに衝突するバット速度に比例するのでヌンチャク打法が断然優利となる。ヌンチャク打法を駆使している大谷選手はやはり優れたバッティング技術を持っているのである。
 
18.バッティング技術の総まとめ
 野球の攻撃は主としてバットでボールを打撃することである。その打球の速度と方向で成果が大きく展開する。重要なのは打球速が速いことである。プロ野球選手並みの打球速120㎞/時の速い打球は、内野ゴロでもヒット確率が42%になることがわかった。速い打球速を生むにはまずジャストミートすることである。ジャストミートするにはバットとボールのズレが±0.5㎝におさえなくてならないこともわかった。そのため、打撃瞬間にはバットを水平に円盤状に振ることが重要で、ジャストミート円盤状という概念を解説した。バットの振り方はヌンチャク振り回し技術であると解説した。
 ヌンチャク振り回し技術は他種目の球技での球を打つ局面では常識的に活用されている。ゴルフのクラブスイング、テニスのラケットスイング、ホッケーのスイング、バレーボールのアタック、等など。15年ほど前に、千葉のカントリークラブでのプロゴルファー養成講座でドライバー飛距離伸長を指導したことがあった。10人の選手で平均飛距離260ヤード(最高でも280ヤード)であったが、ヌンチャク打法訓練で全員が300ヤードを越した結果になったことを記憶している。今や球技での打撃局面ではヌンチャク振り回し技術が常識になっている。